キャリア入社4年目での海外駐在経験、その経緯と得たもの

キャリア入社から約4年間、海外の鉄鉱石資源開発案件に本店の原局側として携わりました。この経験によって、三菱商事の金属資源投資案件への取り組みやその難しさを一定程度理解することができたため、「次は海外での資源投資を現場で」という配属になったのだと理解しています。
駐在先では、原料炭の炭鉱操業・経営自体への理解を深めることはもちろん、パートナーである現地資源大手企業との関係構築、同社と折半出資したジョイントベンチャー(JV)のガバナンスなど、ゼロから学びながらのスタートでした。事業環境が思わしくない中、事業のターンアラウンドというゴールをJVの経営陣と共有し、生産性の向上やコスト削減に一体となって取り組みました。時には熱い議論を交わし、また時には現地の日本食レストランで日本酒を酌み交わし、最終的にターンアラウンドを実現したのは忘れられない経験となりました。
経歴
入社動機

三菱商事の前は金融業界にいました。20代は銀行で企業向け融資と個人預金を担当。30代に入ると、投資銀行でM&Aや株式引受業務に従事。融資や債権から、株式を利用した資金調達やM&Aへと企業支援の軸足が移っていく中で、顧客企業の財務戦略のみならず、事業戦略を一緒に考える機会も増えていきました。それがきっかけとなって「事業会社で事業を推進する側に立ちたい」と考え、商社を志すに至ったのです。金融業界での経験をそのまますべて活かせるとまでは考えませんでしたが、財務戦略やM&Aといった場面では、ある程度、経験を活用することができればと思っていました。
入社前
生い立ち
東京の多摩地域で三人兄弟の末っ子として生まれる。家の周りには林や畑が多く残っており、近所の子どもたちと暗くなるまで遊ぶ。
中・高時代
制服も校則もない学校で自由気ままに過ごす。
大学時代
当時、日本でも広がりつつあったマウンテンバイクのクロスカントリーレースに参加し、各地を転戦。
大学卒業後
銀行に入行。5年間、企業向け融資や個人顧客から資金を預かる仕事に従事。その後、ビジネススクールへの留学を経て投資銀行に転職し、6年半、投資銀行部門でM&Aや株式引受業務などに従事。
入社後

- 2009年
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<国内/本店/事業開発・事業投資>
入社。MDPユニット 鉄鉱石チーム(当時)配属。オーストラリア鉄鉱石資源開発プロジェクトに取り組む。三菱商事が主体的に取り組むグリーンフィールドプロジェクトの難しさを肌で感じると共に、資源事業の魅力を感じる。
- 2012年
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<海外/事業会社/事業投資・事業経営>
12年末より4年半、オーストラリアのMDP(Mitsubishi Development Pty Ltd)社に出向し、原料炭事業を担当。当時、原料炭価格低迷により業績が低迷する中、関係者一体となって事業のターンアラウンドに取り組んだ。最後の1年は一般炭事業の撤退交渉を担当。
- 2017年
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<国内/本店/事業投資>
金属資源グループの投融資事務局、ポートフォリオ戦略を担当。
- 2019年
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<国内/本店/事業投資>
一般炭、ウラン、フェロクロム等、さまざまな商品・事業を担当。
- 2021年
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<国内/本店/事業投資>
アルミ部にて豪州ボーキサイト新規開発案件、及びアルミ製錬事業案件に取り組む。
- 2023年
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<国内/本店/事業投資>
事業投資担当として、グループの投融資案件事務局を担当するとともに、全社の投融資案件の審議プロセスにも関与。
- 2025年
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<国内/本店/事業投資>
鉄鋼原料本部MDP事業部にて、本店原局の立場で原料炭事業を再び担当。原料炭価格が低迷する中、操業安定化に取り組む。
仕事

事業売却の経験

これまでに複数の事業売却、すなわち撤退案件を経験してきました。しばしば質問されるのが「撤退案件を担当するチームはモチベーション維持が難しいのではないか」ということ。けれど、少なくとも私が関わったプロジェクトチームには、そういった雰囲気はありませんでした。
投資案件もしくは商品そのものからの撤退は、経営資源の最適活用という観点から継続的に行うべき重要なアクションです。ただし、簡単ではありません。投資案件であれば事業性や成長性、商品であれば中長期的な魅力度などを改めて見極める必要があり、これまでに一定の経営資源を投下してきた案件・商品については特に、適切なタイミングで撤退を判断することが非常に難しくなります。
一方で、案件撤退に向けたプロセスは、買収と同様、チャレンジングであると同時にとてもエキサイティングです。当該事業の戦略性や事業価値を改めて見極め、想定される買い手候補を洗い出してコンタクトを図る。そして、興味を持つ候補先との間で、少しでも好条件で売却するべく交渉を重ね、社内の意思決定を経て、最終的に権益を譲渡します。
このプロセス自体も興味深いのですが、「事業環境の見通しや案件の前提条件が参画時の見立てからどう変わったのか」「何が足りなかったのか」「撤退時の権利義務関係に改善の余地はなかったか」など、将来、新たな案件・商品に取り組んで行くうえでのさまざまな学びが得られるのも面白さです。
転職を検討されている方へのメッセージ
転職活動時、とある会社の面接官に「前職での経験を、どう活かすことを期待しているか」と質問しました。返ってきたコメントは「前職での経験をすぐ活かすことには期待していない。異なる業界に挑戦するのだから前職での経験はいったん忘れ、新しい仕事にゼロから取り組み、結果を出すことを目指してほしい。いずれ一人前に仕事ができるようになった時、過去の経験が活きることもある」。
いま思えば、「まさにその通り」と言える本質的なコメントでした。仕事によるかもしれませんが、異業界から転職される方は過去の経験や活躍に囚われすぎず、ゼロから始める気持ちを持って取り組むと良いのではないでしょうか。転職後、すでに高い経験値を持つ社員と同じように活躍できるまでは、相当の時間を要すると思います。私自身、実際に「ゼロから始める」という気持ちで取り組めたかといえば自信はありませんが、すぐには結果が出なくても、キャリアを積む過程で過去の経験がじわじわと活きてくるものです。長い目で見た成果を誰かが必ず見てくれているところも、三菱商事の良さのひとつだと思います。
休日
海外生活の思い出
オーストラリアのブリスベン駐在時、白砂と透き通る海が続くクイーンズランド州の海岸線や、原始のままの壮大で神秘的な熱帯雨林など、多様性に富んだ自然を味わうことができました。事業環境が厳しく仕事は大変でしたが、特にまだ小さかった娘たちには良い経験になったのではないかと思います。

