キャリア入社3年目の海外駐在で活きた、前職の経験

カナダのカルガリーに3年間駐在しました。担当していたのはLNG Canadaというプロジェクト。Shell、Petronas、CNPC (中国石油天然気集団公司)、KOGAS (韓国ガス公社)と共同出資し、カナダのガスを液化して日本を含む東アジアの需要国に届けるというもの。このプロジェクトに、株主としての立場で関わっていました。株主と聞くと、どこか事業の現場から離れた印象を持つかもしれません。けれど、実態はまったく違います。連日のように、LNG Canadaの社長や経営幹部から事業戦略の方向性や諸課題への対応方針について意見や提案、判断を求められました。まさにハンズオンで事業参画し、事業会社と株主が二人三脚で歩んでいくという事業だったのです。しかも求められる判断のほとんどは、事業の経済性やリスクに影響するような重要なもの。三菱商事を含め、過去のあらゆる経験をフル活用して向き合う必要がありました。
たとえば、プラントの建設費用や工事のスケジュールに関する課題。その解決のための選択肢を検討するうえでは、投資銀行や留学時代に培った「定量化して評価するスキル」が役に立ちました。また、プラントのオペレーション面で課題が生じたときには、過去の商社での経験を活かして、下流の販売契約や受渡し(取引先との商品・代金のやりとり)への影響といったバリューチェーン全体での影響評価を行いました。
三菱商事だからできたこと

三菱商事ならではの経験だと感じたのは、 「素晴らしい大舞台に打席が存在し、さらに経験が浅くとも、本人にポテンシャルが感じられたのならその打席に立たせてくれる」こと。これに尽きると思います。私自身、事業投資経験がほとんどなかったにもかかわらず、LNG Canadaのようなプロジェクトに参画して発信力のあるポジションを経験しました。まさに三菱商事でしかできなかったことだと思い、感謝しています。
経歴
入社動機

ビジネスを創り、成長させたいという思いから三菱商事に入社しました。もともと私は別の総合商社を経て、米系投資銀行に勤めていました。非常に充実した時間ではありましたが、ファイナンスについてある程度学んだら、事業側に戻ってその経験を活かすことに決めていたのです。ハンズオンでビジネスを創りたいという思いが強かったので、起業やスタートアップ、メガベンチャーの新規事業チームなど、さまざまな入社先を考えました。その中で、三菱商事には事業を創り、育てるのに必要な優秀な人材がたくさんいて、新しい事業を応援する企業文化もあることを認識し、応募。入社することができました。
入社前
生い立ち
東京で生まれ、神奈川の野山で育つ。幼少期は生き物や自動車、野球に没頭し、生物学者や技術者を夢見る。両親は自由を重んじ、私を何かの型にはめようとしたり、勉強を強制したりするようなこともなく、のびのびと育ててくれた。
中学・高校時代
中学校時代に映画に出会い、高校時代に「マトリックス」を観て映像表現の可能性に心打たれる。映画業界に興味を持ち、ハリウッドでの映画製作のキャリアを漠然と夢見る。
大学時代
番組制作のアルバイトを通じて映像制作の現場を経験するが、自身のイメージとのズレを感じる。学校での講義や周囲の仲間から影響を受けてビジネスへの興味が湧き、特にエネルギー領域に強く惹かれる。
大学卒業後
2007年、別の総合商社に新卒で入り、LNGの新規事業開発や商品の輸入代行業務に携わる。充実した日々を送るも、今後のキャリアを考えた時にスキル不足を感じ、ビジネススクールに留学。卒業後の2017年、ファイナンスや企業戦略分野への理解を深めるべく、米系の投資銀行に就職。M&Aや資金調達、スタートアップファンド事業に従事。
入社後

LNGカナダの建設現場を視察
- 2019年
-
<国内/本店/オペレーション>
三菱商事入社。天然ガスグループ(現・地球環境エネルギーグループ)配属。即、事業投資先に出向。勤務地は本店内だったものの、「即出向はキャリア採用史上初めて」と人事に言われた。いきなり重要なLNG案件を任され、入社1か月後には売買契約交渉のテーブルにつき、交渉窓口としてお客様と協議することに。まったく経験がない領域だったので模索の毎日だったが、最終的にはいくつかの契約をまとめることができた。市場分析業務も並行して担当し、中国市場をカバー。低炭素化社会に対応したLNG商品の開発にも従事。1年程度だったが、下流領域の理解を深めることができ、成長を感じた。
- 2022年
-
<海外/事業会社/事業投資>
カナダにある、上流から中流までのガスバリューチェーンを担う事業投資先に出向。三菱商事がShell/Petronas/CNPC/KOGASなどと推進するLNG Canadaプロジェクトを株主としてガバナンスする任務に就く。世界的なエネルギーメジャーと共に、カナダとして初めてとなる大型LNG輸出事業の創造を経験し、エネルギー事業の醍醐味を知る。
- 2025年
-
<国内/本店/事業投資>
本店に帰任。30年以上続くオーストラリアのプロジェクトを担当。
仕事

記憶に残るこれまでの“挑戦”

コロナ禍における、リモートでの販売交渉です。
LNGの長期販売契約は、供給期間が10年以上にも及び、金額的にも極めて巨額。そのため、網羅的でとても複雑な契約を結ぶことになります。契約のクローズまでは通常でも1年、長ければ数年かかることも珍しくありません。
ところが、当時の私たちにはさまざまな事情があり、わずか2か月で交渉をまとめる必要がありました。しかもコロナ禍。5人のチームメンバーは、東京とシンガポールに分かれて在宅勤務中。そんな状況にもかかわらず、入社からまだ4か月ほどしか経っていない私が、ろくに販売経験もないままチームをリードすることになったのです。「すごいことを任せる会社だな」と思いましたが、悩んでいる暇はありません。早速、メンバーとともに交渉の論点を洗い出し、交渉プランの作成に取りかかりました。その数日後には、実際の交渉に臨んでいるというスピード感です。昼は交渉。夜はシンガポールのチームと契約書を作成しつつ、作戦会議。そんな日々が続きました。その甲斐あって、最初は100個以上もあった交渉の論点は、日を追うごとに減っていきました。75個、50個……最終的にはチームの努力が実り、期日ぎりぎりですべての条件に合意することができたのです。
何より驚いたのは、コロナ禍によって環境が激変し、常識だった対面での準備や交渉ができなくなったにもかかわらず、誰もがそれまでと変わることのない熱量とプロ意識で臨んでいたことです。チームの輪と一体感を醸成できるか当初は不安でしたが、状況に左右されない心の結びつきが、三菱商事の強さの根底にあることを感じました。
さらにこの交渉では、タイトなタイムラインと慣れない交渉環境にもかかわらず、お客様の側にも極めてプロフェッショナルな姿勢で交渉に臨んでいただきました。その中で大いに鍛えられたことに、今でも感謝しかありません。
三菱商事で今後挑戦したいこと
人々の生活を変えるような新しい価値を、事業の創造を通じて生み出せないかと考えています。三菱商事は、地域軸、産業軸、機能軸と、どこを取っても極めて広く社会との接点を持っています。これほどの広がりを持つ企業はそうそうないはずです。この強みを背景に、社会に広く張ったアンテナを活用して事業の種をキャッチし、三菱商事のネットワークにある英知と知見を活用し、これまでの世の中になかった価値を作り出す——それこそが、私が挑戦したいことです。
一方で、組織が大きいからこそ、産業ごとに括られたグループ間での連携をいかに促進するか、にさらなる飛躍のカギがあるようにも思います。組織の垣根を越え、三菱商事のアセットやポテンシャルを最大化し、マネタイズできる人材でありたいと思います。
休日
休日の過ごし方

スキーや写真、自動車レースの観戦、料理(BBQや日本料理)が趣味です。

