銀行での経験が生きる瞬間

前職で携わったプロジェクトファイナンスは、プロジェクト単体から生まれるキャッシュを返済原資とする特殊な融資手法です。その性質上、プロジェクトが頓挫した際のリスクを回避するために、複雑な契約構造や担保設定、精緻な財務モデル、資金フローの厳格な管理が求められます。資金調達にはさまざまな手法がありますが、中でもプロジェクトファイナンスは実地の経験がものを言う世界かもしれません。
三菱商事入社後、担当するプロジェクトで緊急事態が発生。10社以上の多国籍金融機関から短期間で同意を取り付ける必要が生じたため、欧州のパートナーと手分けして金融機関との交渉に当たりました。前職で培った知識とマーケット感覚を活かし、金融機関が懸念しそうなポイントを契約条項と財務モデルに基づいて丁寧に説明した結果、迅速に承諾を得ることができました。
「Approved」とのメッセージを共有した直後、欧州のパートナーから送られてきた花火の絵文字。それはまさに、前職での経験が活きたと実感した瞬間でした
経歴
入社動機

前職の銀行では、巨大プロジェクトを支援する立場としてプロジェクトに関わり、一定の達成感は得られていました。しかし、次第に「シェフ」になりたいという思いが強くなりました。つまり、自らグルメのトレンドを感じ取り、売れる料理(=価値ある事業)を考案し、キッチン(=現場)を指揮して、人々の“胃袋”(=ニーズ)を満たすような、事業主体としての仕事がしたくなったのです。
エネルギーインフラの分野は、巨額の資金が動くプロジェクトが多く、資金調達においては貸し手側のリスク感覚やストラクチャリングの知識が非常に重要です。前職でそうした知見を教えてくれた方々には、今でも感謝しています。
入社前
大学まで中国で過ごす。学生時代の夏休みはPlayStation3でアクション系のゲームに没頭するのが定番。
大学では薬学部に進学し、ナノ医療の研究に取り組む。ある日読んだ論文に強く惹かれ、その著者である、チャーミングな南米出身の先生の研究室で学ぶために来日。しかし、研究者としての才能が自分にはなく、その孤独に耐える自信もないと気がつく。
自分なりに手応えを感じられる仕事がしたいと考え、2018年に大学を卒業後、銀行に就職。2年弱の法人営業を経て、2020年にプロジェクトファイナンス部門へ異動。日本や東南アジアの大型発電所、中東・南米の巨大エネルギーインフラに対する融資業務に従事し、リスク評価、スポンサー・弁護士・貸し手との交渉、期中管理に没頭する日々を送る。また、米国の脱炭素ソリューションを提供するベンチャーへの投資にも関わり、ビジネスを“創る側”の面白さを垣間見る。
入社後

- 2023年
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<国内/本店/事業投資>
キャリア入社後、エンジニアリング事業部(現船舶・インフラ事業部)に配属。深海油田を開発する大規模エネルギーインフラ案件の事業投資を担当。プロジェクト運営の現場感、ファイナンス組成の難しさ、欧州・日本のパートナーとの密な連携、さらには会計・税務・計数管理まで、一気通貫で事業投資を管理するスキルを短期間でキャッチアップ。ダイナミックな環境の中で、ゼネラリストとしての成長を肌で実感。
入社9か月目には、地球の裏側への2泊5日の弾丸出張も経験。さらに2024年夏には、スタンフォード大学d.Schoolにてデザイン思考の研修を受講。パロアルトの木漏れ日の中で街頭インタビューを行い、チームでアイデアをぶつけ合うなど、イノベーションの刺激に満ちた1週間を過ごす。 - 2025年
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<国内/本店/事業開発>
既存の事業投資に加え、「次世代インフラ」をテーマに次なるビジネスの柱を探索中。新規パートナーとの協業を“妄想”しながら、市場調査等で欧州・アジアに飛び回って、三菱商事の総合力を活かしつつ実現に向けて奮闘する日々。
仕事

仕事でやりがいを感じる瞬間
入社1年目で事業開発に取り組んでいた時のこと。次なるビジネス機会を探しながら、潜在的なパートナーとの距離を縮めようと日々模索していましたが、なかなか突破口を見出せないでいました。
そんな中、協業テーマに関連するEXPOがフランスで開催されるとの情報をキャッチ。ダメ元で先方をEXPOに誘ってみることにし、欧州現地の同僚も巻き込んで真摯にアプローチした結果、先方は2名を派遣してくれることに。さらに、先方役員とのランチアポイントメントも獲得できました。
ちょうど社内の予算作成の真っ只中でしたが、上司を説得して単身フランスのナントへ。先方と合流し、こってりとしたフレンチのディナーを共にした後、ホテルで東京側の業務の対応。翌日、時差ボケに耐えながら、EXPOでは情報収集や協業に関するネタ集め。EXPO終了後はマドリードに飛び、先方のスペイン人役員3名とイベリコ豚とワインを囲んで関係を深め、再び空港へ…。先方や業界関係者とのネットワーキングに奔走し、目まぐるしくも非常に充実した2日間でした(当時できたニキビの跡はようやく薄れてきました…)。
そんな努力の甲斐あって、先方との距離は確実に縮まり、協業の話も加速。その後、欧州でのサイト見学や議論を重ね、ついに協業覚書の締結に至りました。こちらから署名済みの覚書を送信してからわずか1分後、先方からカウンターサイン付きのメールが届いた瞬間の喜びは、今でも忘れられません。
記憶に残る同僚
入社後2年という短い間にも、多くの素晴らしい上司・先輩・後輩に恵まれてきました。特に印象に残っているのが、入社直後に所属したチームの上司と後輩です。
上司は常に自身のロジックと仮説を持ち、表面的な財務指標にとどまらず、その裏にある背景や構造を深く掘り下げる探究心を持っていました。ビジネスの本質を見極める姿勢とセンス、社内外との関係構築における卓越したコミュニケーション力には、日々刺激を受けていました。チームメンバーを信頼し、尊重しながら、適切な裁量と成長機会を与えてくれるその姿勢は、まさに「商社パーソンの人間力」を体現しているようで、キャリア入社の自分にとっては非常に貴重な学びとなりました。
一方、後輩は周囲に流されない芯の強さを持ち、納得するまで粘り強く取り組む姿勢が印象的でした。持ち前の交渉力とコミュニケーション力は非常に頼りになり、チームのムードメーカーとしても明るい雰囲気を作ってくれています。後輩からも多くの刺激と学びを得ています。
休日
趣味・マイブーム

ニュージーランドでの一人旅
長期休暇には、コロナ禍で行けなかった反動もあり、よく海外旅行に出かけており、最近は旅先での気楽なハイキングにハマっています。初めての土地で美しい緑に囲まれ、山登りで溜まった乳酸と汗が山頂の風に吹き飛ばされるような瞬間の爽快感はたまりません。

