法律事務所を経験したからこそ感じる、三菱商事の法務の魅力

チームプレイが多いことと、代理人ではなく本人として事業に関与できるところだと思います。事業投資におけるM&A実務などの専門性は法律事務所と重なりますが、三菱商事の場合、営業部はもちろん、コーポレートを横断したone teamとしてプロジェクトに対応することが多いです。ビジネススキルとして捉えれば、法律はone of themに過ぎません。財務会計・税務・サステナなどの専門性を持った社員が、社内には大勢います。いくつもの論点が交錯する場面で、どれだけ知恵を出し合えるかはやりがいのひとつです。
契約交渉にも、外部の代理人としてではなく、最終決定をする本人として参加します。国営企業との交渉では、パートナーの代表として出てくるのがその国の大臣ということもあります。「本人」として交渉し、交渉と分析をやりきったところで「結局やるべきなのか、そうではないのか」について意見を求められるのは、緊張感もありますが達成感はひとしおです。
マネジメントポジションとプライベートを両立するための工夫

就学前の子を含め、二児の親として仕事との両立に取り組んでいます。マネジメントポジションであれば、チーム運営を含めて裁量は広がります。その分、プライベートとの時間配分などのバランスがとりやすくなっていると感じます。
就労環境についていえば、サポートの相手である営業部の方も、法務の機能さえ適時に果たしていれば出社しているかどうかは気にされません。 夜間に急にプロジェクト対応が生じたとしても、子どもを寝かしつけてから自宅で対応することができます。私自身の工夫ではありませんが、学校や保育園側も「親が働いていることは当然」という前提のもと、行事の時間帯などを配慮してくれるので、とても助かっています。
チーム運営に目を向ければ、プライベートを優先すべき出来事が突発的に起きることは、すべてのメンバーにありえます。その時に備え、先手を打って業務の納期管理を行っておくことと、案件の進め方については早めに相談してほしいこと——料理に例えれば「カレーを煮込んでしまう前に、ニンジンとジャガイモを鍋に入れる段階でいったん持ってきてほしい」ことは伝えています。
経歴
入社動機

米国のロースクールや法律事務所で研修を受けたことをきっかけに、弁護士有資格者が就ける職種の幅広さを改めて実感。自分のキャリアの可能性をより広く考えるようになりました。当時、商社の法務部に出向していた同僚から「商社の法務部ではビジネスの種のようなところから関与できる」「海外とのやり取りも多い」と聞き、自分のやってきたM&A支援や海外研修の経験を活かせるのではと思いました。前職でも上場会社を含むクライアントを担当し、さまざまな会社の組織形態や経営判断プロセスを見てきたので、今でも社内のルールや組織の在り方を俯瞰して考えることを大切にしています。
入社前

米国ロースクールの卒業式で。
生い立ち
仕事でイタリアに長く駐在する両親のもと、ローマで生まれる。2人姉妹の末っ子。神社が近くになかったためサン・ピエトロ大聖堂でお宮参りをした。家庭の文化は完全にイタリアン。普段優しい父も、パスタのアルデンテには厳格だった。
学生時代
法学部に進学したものの、卒業年次のギリギリまで研究者か官僚かの進路で迷う。が、友達の誘いで立ち寄った法律事務所の採用イベントで初めて法曹の世界を知り、急転直下、弁護士に進路変更。
法律事務所時代
学生時代からメンタルヘルスと労災をテーマに論文を書いており、労務系に関心があった。そのため、M&Aチームに属しながらも、業務の半分は解雇・ハラスメント等の労務紛争や労働組合交渉対応を担当させてもらっていた。また、生後間もない娘を連れて米国に渡り、ロースクール及び法律事務所で研修。試験勉強も学内イベントも赤ちゃんだった娘と一緒。可愛くて仕方なかった。
入社後

- 2016年
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<国内/本店/コーポレート(法務)>
入社後3年弱、化学品グループ(当時)の業務を担当。トレーディングにおける輸出入手続や船舶のトラブル対応ではスピード感が求められた。交渉のため、メキシコ、ペルー、インドを飛び回り、セスナ機で現場入りしたことも。メキシコでお腹を壊し、飛行機で寝込んでしまったのもよい思い出。
その後の6年間、世界各国のプラントや鉄道建設といったインフラ事業、エンジニアリング会社再建に従事。「ザ・商社」ともいえる伝統的かつスケールの大きいビジネス。営業部局や各コーポレートと横連携する機会が豊富で、人脈が一気に広がる。キャリア入社組にとってはありがたい経験だった。
2024年の春からは、地球環境エネルギーグループ及び電力ソリューショングループを支援するチームに所属。インフラを受注する側から発注する側に立場が変わり、数か月間アイデンティティ・クライシスに苦しむ。次世代部門エネルギーや再エネ関連事業では、前例のない世界でもがきながら、刻々と変わる脱炭素支援政策を勉強中。
仕事

記憶に残る上司のアドバイス
マネジメントポジションに就く少し前、アドバイスをくれた上長には大きな影響を受けました。マネジメント側に回ると、頭の使い方や仕事の強弱のつけ方がこれまでとはまったく変わること。最優先で心を砕き、時間を割くべきなのは、各チーム員が仕事をしやすく、その頑張りが組織から正当に評価される環境づくりであること。他方で、 指導すべきは言いにくいことでも逃げずに伝えること——言葉だけではなく、その上長がリーダーとして身をもって実践されていたことだったので、イメージも持ちやすかったです。これらに自力でゼロから気づこうとしたら、何年かかってしまっていたのだろうかと思います。やるべきことや優先順位を判断し、マネジメントとして後悔なくここまでやってこられたのは、このアドバイスのおかげです。
「三綱領」を感じる場面
社是というものが、日々の業務に影響を与えるのかどうかさえ、入社前にはイメージできていなかった私。けれど今は、その影響を感じる場面がしばしばあります。たとえば、新規プロジェクトに取り組む時。上場会社である以上、経済合理性の検討が判断指標の第一です。しかし、それを超えた定性的な取り組みの意義も真剣に議論され、三綱領が社員共通の価値観になっていると感じます。「ただ儲かればよい」という案件は俎上に載ってきません。
社員のコンプライアンス意識の高さにも表れていると思います。たとえば、M&Aにおける投資対象候補会社の事前調査。調査の過程で、法令違反の疑義が出てきた場合、法務部の説得がなくとも、営業部側の判断で検討打ち切りとなることがよくあります。案件によっては、何年も追いかけてきて「やっとここまで漕ぎ着けた」というものもあり、打ち切る時の心中は決して穏やかではないはず。それでも、迷うことなく決断できるのも、三綱領という価値観の発現なのかなと思います。
休日
休日の過ごし方
子どもと近所の公園や動物園にお出かけしています。子育ては、子どもたちが18歳になるまでの時限性のあるものだと思っています。「もっと一緒に過ごせばよかった」と後で思わないよう、今をめいっぱい楽しんでいます。家族に愛情を伝える手段は料理だと考えているので、自分の時間ができれば、インバウンドの人波に押し流されながら築地場外に食材を仕入れに行きます。最近、トマトと椎茸、カツオの出汁で作った冷やしおでんを作りました。2日がかりでしたが、好評でした。

