三菱商事のビジネスモデル
三菱商事は企業理念「三綱領」をよりどころに、ビジネスを通じた「経済価値」「社会価値」「環境価値」の同時実現に取り組んできました。
その基礎となる、ビジネスモデル、すわなち“価値を生み出す仕組み”が時代の変遷とともにどのように進化してきたのかをご紹介します。
トレーディング期
1
売り手と買い手を世界でつなぐ
トレーディングとは、取引の仲介によって手数料を得ること。三菱商事は創業から1980年代まで、トレーディングを通じて世界中の「売り手」と「買い手」をつなぎ、幅広い産業を支えながら成長してきました。
三菱商事らしい介在価値を
三菱商事が仲介することでさまざまな課題を解決してきました。たとえば、「売り手と買い手をマッチングして安定供給を実現する」「取引代金を立て替える金融機能で売り手の代金回収リスクを低減する」「輸入船をチャーターして最適な物流を設計する」といった価値を提供してきたのです。
事業環境の悪化をバネに
1980年代半ばから、円高不況やバブル崩壊によって事業環境が悪化。いわゆる「商社不要論」が唱えられる中、三菱商事は「仲介役」から一歩踏み出し、「売り手」「買い手」に対するマイノリティ出資を通じた取引量の維持・拡大や、中間取引業者として付加価値をもたらす機能の強化に取り組みました。
事業投資期(業態転換期)
1
進むグローバリゼーションの中で
2000年代。グローバリゼーションの進展とともに、バリューチェーンの構造変化や各産業プレイヤーの成長に伴い、仲介という事業そのものの転換が求められるようになりました。三菱商事が活路を求めたのは、三菱商事自らが事業の担い手として運営に乗り出していく、「事業投資」というビジネスモデルです。
バリューチェーンの上流へ、下流へ
それまで仲介者として対面していた、自らの上流・下流に投資を行うことで、バリューチェーン上のポジションを再構築していきました。バリューチェーン全体を俯瞰し、産業構造の変化を展望しながら、収益性の高い領域や、事業戦略上の要所となる領域へと、投資へ進めていったのです。
事業経営期
1
発想は投資から経営へ
さらに、投資先のオペレーションに深く入り込み、主体的に価値創造を図る「事業経営」へのシフトを進めています。たとえば、パートナーとの新会社設立や買収による子会社化を通じて、経営層や現場責任者として人材を派遣し、トレーディングや事業投資で培ったナレッジを投入します。事業運営への関与を強めることで、バリューアップを自ら実現していくのです。
ダイナミックなバリューアップを
産業の未来を構想し、バリューチェーンを俯瞰する視点で戦略的にポジションを選択しながら、業界再編といったダイナミックなアプローチも含めて、事業の現場で泥臭く価値創造を積み重ねていく。そうした、現在と未来をつなぐための事業運営に、さまざまな産業で取り組んでいます。